風力発電ってどんな仕組みで動いているの?
風力発電のメリット・デメリットがどんなものか知りたい。
自然を利用した電力が注目されている中で、
風力発電というものを耳にしたことがある人は
多いのではないでしょうか。
風力発電は大きな風車が回っているイメージが強いですが、
実際にはどんな仕組みで動いているのか気になりますよね。
ここでは風力発電にスポットをあてて、
仕組みを始めとするメリット・デメリットの面にも注目して、
ご紹介していきます。
風力発電のしくみとは?
Original update by : acworks
風力発電はその名の通り、
風力発電機を利用して発電しています。
風力発電の上部には「ブレード」と呼ばれる羽が付いていて、
この部分に風があたると回転します。
その回転が「ナセル」という装置の中に伝わって、
その中で更に回転を速め、
その回転を発電機で電気に変換しているのです。
発電された電気は変圧器で昇圧し、
送電線を通って届けられます。
風力発電機の高さは、
高いものでは100メートル以上あるので、
通常の建物と比べてとても大きいです。
風を受ける位置が高いほど、
上空で拭いている強い風を受け止めることができます。
風力発電の発電量は風に左右されるので、
風が強く吹く場所、風がよく吹く場所に風力発電機が設置されます。
風力発電機の設置場所については、
年間を通した風の状況を考慮する必要があります。
風力発電のメリットは?
風力発電のメリットを見ていきましょう。
太陽光発電と並んで、
「環境に優しい」といわれているのが風力発電です。
また、環境に優しいだけでなく、事故が起こりにくく、
リスクの少ない発電方法として注目を集めています。
「風」という自然の力を利用する風力発電には、
様々なメリットがあります。
- 再生可能エネルギーを利用しているため、外部からの影響を受けにくい
- 風が吹けば24時間発電が可能
- 地球温暖化の原因となる温室効果ガスを排出しない
- 酸性雨や光化学スモッグなど、大気汚染の原因となる酸化物を排出しない
- 陸地だけでなく海上に風車を設置することができる
他にも「発電コストが低い」、「工期が短い」
という点もメリットです。
風力発電は新エネルギーの中で最もコストが安く、
太陽光発電の4分の1程度といわれています。
工期についても、
原子力発電所の工期が一般的に4年かかるのに対して、
風力発電の工費は1年半程度で済みます。
このように風力発電には、
様々なメリットがあることが分かりますね。
風力発電のデメリットは?
Original update by : acworks
メリットがある反面、何事にもデメリットはつきものです。
風力発電にもデメリットが存在しますので見ていきましょう。
風力発電は自然への影響が少ないのが特徴ですが、
肝心の発電量については、
問題点として挙げられることになるでしょう。
自然である風の強弱を調整することはできないので、
安定性には欠けます。
台風のように風が強くなると、
耐久性の問題も発生してしまいます。
デメリットをまとめると以下の通りです。
- 発電量に風速が影響する
- 落雷による故障のリスクがある
- 地震で発電停止することが多い
- ブレード部分に鳥が巻き込まれてしまうことがある
- 風車から低周波音や機械音が発生し、近隣に騒音問題を起こすことがある
もちろん、風力発電所を設置するには、
「平らな場所」が必要になります。
平地の少ない日本では山間部での建設も多くなっており、
風力発電設備の大量設置は難しいものがあるのです。
かといって高い場所に設置すると、
メンテナンスが大変になってしまいます。
日本の面積から考えても、設置台数が限られてしまうでしょう。
風力発電はどのような場所に導入されているの?
風力発電を作る場所を選ぶ場合は、
年間を通じて毎秒6.5キロメートル以上の風速の風が、
安定して吹いていることが条件になります。
風力発電を計画する時には、
作るところの数年間の風の状況を十分に調べて、
発電が実際に可能な電気容量を掴んでおくことが必要になります。
同じ場所でも「夏場はほとんど風が吹かない」
というように、季節によって変化があります。
日本における風力発電所は、北海道、東北、
九州の海沿いや山の上などに設置されています。
また風力発電の電気は送電線で送るので、
送電線に繋げることが不可欠になります。
1万kW~3万kWくらいの規模の大きな風力発電所から、
電気を送るには6万Vくらいの送電線が近くにあることが必要です。
世界の風力発電で、
最も盛んに行われているのは中国です。
風力発電は2000年前後から、
アメリカ、ドイツ、スペイン、デンマークの4ヶ国がリードしてきました。
特にドイツ、スペイン、デンマークは、
環境政策の一環として再生可能エネルギーに注力し、
風力発電の建設が急速に増加しました。
国によっては国内の電力の3割を、
風力発電でまかなう国もあるほどです。
風力発電はEU国と北米、そして、
世界の人口大国である中国やインドで盛んに取り入れられています。
今後も世界中で需要が高まることが予想されています。
風力発電の環境への影響とは?
日本では山の尾根に風車が建てられることが多いのですが、
巨大な風車を運ぶためには、搬入路の新設、
拡張工事により、広大な森が伐採されます。
普通、搬入路は谷筋から山腹、尾根へと向かい、
尾根部分に風車が建てられます。
そのため大雨により土砂が谷へと大量に流れ出し、
川や海を汚染し、漁業資源の貝、 魚、海藻などが打撃を受けます。
海が汚れ、巨大な風車の林立によって景観も損なわれるので、
観光業にも影響を及ぼす可能性があります。
山だけでなく海に風力発電を設置する場合も、
懸念事項があります。
風力発電が建てられた近くでは、
キスやボラがいなくなってしまうのだそうです。
海岸は砂浜で、海がめが産卵期に上陸する場所だったのですが、
それも見られなくなったそうです。
しかし1キロ離れた場所では、このような事実はありませんでした。
この原因は、風力発電機から発せられる低周波音の影響です。
そして低周波音の影響は自然だけでなく、人にも降りかかります。
風力発電開発予定地から、
数百メートルの場所に人が住んでいた場合、
24時間鳴り響く モーター音、風切り音に悩まされることになります 。
更に風力発電開発予定地から、
200メートル程度の近隣に住む人は、
騒音、低周波音の影響で眠れない日々を過ごし、
多数の人が健康被害を訴えています。
このように様々な環境への影響があることも覚えておきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
風力発電は風力発電機を用いて、
ブレードを回転させ、「ナセル」という装置の中で、
その回転を発電機で電気に変換している仕組みです。
主な特徴としては…
- 環境に優しい再生可能エネルギーを利用して、風さえあれば24時間発電が可能
- 風の強弱は調節できないので、発電量はあまり期待できない
- 風車から低周波音や機械音が発生し、近隣との騒音問題に発展する可能性がある
メリットもデメリットも持っていますが、
世界では普及が広まっている自然エネルギーです。
環境への影響面も考慮しながら、
日本でも少しずつ広がっていくのではないでしょうか。