ダブル発電にすると売電価格が下がっちゃうって本当?
ダブル発電を避ける方法はある?
どんな蓄電池を選んだらいい?
「ダブル発電を導入しようと思って検討したら、売電価格が下がるという情報を聞いた。」
「売電収入を当てにして費用を回収しようと思ってたのに、これじゃなかなか導入に踏み切れない。」
ダブル発電とは、決して利用者にとって、何もかもお得になる夢のような話ではありません。
そこで、少しでも有効利用し得をするためにダブル発電の概要や導入前に知っておきたい機種の選び方や注意点をご紹介します。
この記事を読んで、ダブル発電で損をせずに得をするように冷静に判断をしてください。
ダブル発電とは?
ダブル発電とは、太陽光発電システムと、
エネファームや蓄電池などを導入することで行われます。
- エネファームの場合
太陽光による発電と、ガスエネルギーによる発電を行う - 蓄電池の場合
太陽光によって発電した電力を蓄電池に貯蓄する
ダブル発電を導入すれば、
エネファームで発電した電力は優先的に自家消費に使われ、結果、
大幅に余った太陽光発電による電力を、全て売ることが出来ます。
また、蓄電池ならば、
太陽光発電で発電した電力を蓄積して日中使用することにより、
電気料金の一切かからない太陽光発電だけの生活が可能になります。
しかし、そんなダブル発電には夢のような話ばかりだけではなく、
次でご紹介するような注意点があります。
ダブル発電の注意点とは?
ダブル発電における一番の注意点では、
シングル発電の時よりも売電価格が下がってしまうことです。
2020年度のそれぞれの売電価格を見ると、このようになっています。
〇通常
- 出力制御対応機器 無し の場合 ・・・ 21円/kWh
- 出力制御対応機器 有り の場合 ・・・ 21円/kWh
〇ダブル発電
- 出力制御対応機器 無し の場合 ・・・ 21円/kWh
- 出力制御対応機器 有り の場合 ・・・ 21円/kWh
2019年までは1kWhあたり3円も違うこともありましたが、2020年のFIT制度の改正により21円で統一されました。
近年で太陽光発電は急激に普及し、電力会社の方の売電の支払いが膨らんでしまったために、売電価格を下げて「バランスを取っている」と推測されています。
ダブル発電の設置にかかる初期費用は?
ダブル発電は、太陽光発電と蓄電池やエネファームなどの機器を併用するので、設備費用が太陽光発電設備のみの場合と比べて高額になります。
・太陽光発電で約100万円
・エネファームで約170万円
・エコウィルで約80万円
・蓄電池で約80~150万円
ダブル発電の補助金はいくら?
補助金を活用すると蓄電池をお得に導入することが可能になります。
こちらが補助金の内容です。
【公募期間】
2020年04月07日 ~ 2020年6月30日
【事業完了期限】
2020年9月30日
【蓄電池商品代】
初期実効容量1kwhあたり20,000円
【蓄電池設置工事代】
工事代の1/2
上限は5万円
【ヘムス】
ヘムスの1/2
上限は5万円
【予算】
SIIの予算:38.5億円(15,000件程度)
※すでに20億円は消化済
補助金の算出事例
【設置内容】
商品:スマートスターL蓄電池9.8kwh
保証期間:15年で販売価格は13.5万円/kwh
初期実効容量:7.5kwh
蓄電池設置工事代:30万円
【補助金額】
対蓄電池商品:15万円(7.5kwh ✕ 2万円)
対工事代:5万円
補助金総額:200,000円
ダブル発電にならない蓄電池がある!?
蓄電池には様々な種類がありますが、その中で、
ダブル発電になるタイプのものと、ならないタイプのものをご紹介します。
- 移動型蓄電池(小型)
- 定置型蓄電池(大型)
- 太陽光発電連系型蓄電池(大型)
〇移動型蓄電池(小型)
手軽に移動することが出来る蓄電池で、
蓄電池本体についているコンセントから電力を取り出し使うタイプです。
容量は1~2kWh程度となっている小型の蓄電池で、ダブル発電にはなりません。
しかし、この蓄電池では家の照明やコンセントに電気を供給することは出来ず、
実用性があるとは言えません。
〇定置型蓄電池(大型)
非常時に家の照明などの電気を使いたいという要望から発売された、
6kWhほどの容量の大型蓄電池です。
停電時の心強い味方で実用性は大分上がりましたが、
これがダブル発電と見なされるタイプの蓄電池です。
売電価格が減額され、売り上げは伸びませんでした。
〇太陽光発電連系型蓄電池(大型)
現在主流となっている、大型の蓄電池です。
分電盤に繋いでもダブル発電と見なされないタイプの蓄電池で、
売電価格が下がらない仕組みになっています。
このように、蓄電池にも様々なタイプがあり、
選ぶ際には十分に気を付けなければなりません。
それでは、利用者にとって、
一番お得となる蓄電池の選び方を次でご紹介します。
お得に発電する為の選び方とは?
お得に発電をするための蓄電池の選び方は、
以下の4つのポイントを押さえることです。
- ダブル発電にならない蓄電池を選ぶ
- 表記内容をしっかりと確認する
- 電力の使用量を把握する
- 保証内容を確認する
〇ダブル発電にならない蓄電池を選ぶ
様々な機種がありますが、
ダブル発電にならない代表的なメーカーがあります。
- NEC
- 東芝(モードを切り替えられる)
- シャープ(モードを切り替えられる)
- 京セラ(機種により分かれている)
蓄電池を選ぶ際には、主にこれらのメーカーの製品を調べ、
いくつか見比べて家や予算に合ったものを選ぶことをお勧めします。
〇表記内容をしっかりと確認する
表記内容とは、その蓄電池の性能についてです。
例えば、「蓄電容量」は蓄えられる電気量のことです。
蓄電池は非常時にバックアップ電源として使われることになるため、
蓄電容量はとても重要になってきます。
気を付けなければならないのは、
蓄えることが出来る容量が蓄電容量の85%ほどであるということです。
また、同時に使用出来る電量の最大値を表す「定格出量」にも注目です。
給湯器やドライヤーなど、電力使用量が大きい電化製品を使うと、
この定格出力を超えてしまい、蓄電池が性能を維持出来ず、
電力が一気に無くなってしまう可能性があります。
そして、連続使用時間の欄にも気を付け、
あまりにも短いものは選ばないことをお勧めします。
〇電力の使用量を把握する
普段から使う、もしくは非常時に必ず使用したい照明などの、
電気機器の必要電力を必ず把握しておいて下さい。
そして、それらを使った場合にどれほどの電力が必要になるかを計算し、
その性能を満たす蓄電池を選ぶことが重要です。
〇保証内容を確認する
蓄電池は長期間に渡って使用するため、
保証内容は必ずきちんと知っておかなければなりません。
次に挙げる3つが、一般的な蓄電池の保証です。
- 製品保証
蓄電池が壊れた場合、交換もしくは修理を行ってくれる保証 - 容量保証
メーカーによって違う期間や基準値より蓄えられる電力が少なくなった場合、
交換もしくは修理を行ってくれる保証 - 工事保証
蓄電池の工事の際に何かを壊されたり、工事自体に欠陥がある場合のための保証
最低限この3つの保証があることを確認し、
その他についても納得の行くものであるか注意して下さい。
蓄電池は経済的にも規模的にも大きな買い物になるため、
購入は特に慎重に行うことをおすすめします。
ダブル発電でお得に発電するポイントは「押し上げ効果」!?
押し上げ効果とは、太陽光発電と蓄電池を両方導入し、
太陽光発電の電力を売電する時間帯に蓄電池から放電することです。
引用:京葉ガス
太陽光発電の電力は、
本来売電する分と自家消費に回す分に分けられます。
そこで、蓄電池に自家消費分を担当してもらうことによって、
太陽光発電の電力をほぼ全て売電に回せ、
それによって売電量が「押し上げ」られるからです。
せっかく押し上げ効果があっても、
「ダブル発電により売電価格が下がってしまうなら意味がないのでは?」
と思われがちですが、一概にそうとは言えません。
太陽光発電の発電量と、蓄電池の容量によって、
シングル発電+通常の売電価格よりも、
押し上げ効果+安い売電価格の方が利益が出る場合はあります。
特に、大家族で日中常に誰かが家にいて電気を使う家庭で、
システムの発電容量が少ない場合などは、
押し上げ効果を狙った方がかなりお得になります。
まとめ
いかがでしたか?
ダブル発電の仕組みを理解してきちんと機種を選べ、
長期的に使えば必ず利益が出ます。
そのために、以下の重要なポイントを押さえておいてください。
- ダブル発電は総合的な発電量と売電量が増えるが、その分売電価格は下がる
- しかし、蓄電池によってはダブル発電を回避出来る機種も存在する
- 機種を選ぶ基準は、ダブル発電を避けることだけでなく、
その機種が家庭や予算に合っているかを重要視する - 購入の際には、機種のスペックや保証内容を必ず綿密に確認する
ダブル発電は、確かに売電価格が下がってしまうというデメリットはありますが、
だからと言って損をしていると考えることはありません。
非常時のための発電として、
太陽光発電と蓄電池の両方を持つ安心感は、やはり大きなメリットです。
ダブル発電のデメリットばかりに目を向けるのではなく、
長期的な利益を考えて、この記事を参考にベストとなる蓄電池を選んで下さい。