地熱発電の仕組みって、どうなってるの?
再生可能エネルギーで安全性も高いのに、普及していないのはなぜ?
地熱発電は永久的に得られる再生可能エネルギーで、
マグマの熱を使って発電を行います。
日本の未来を左右しうる発電方法です。
しかし、地熱資源の発電への利用はわずか2%と低いのが現状です。
なぜなのでしょうか。
地熱発電の仕組みやメリット・デメリットについて調べてみました。
地熱発電の種類とは?
Original update by : 写真AC
地下に穴を掘って得た蒸気や熱水を使ってタービンを回すことで
発電をしているのが地熱発電です。
発電方式は、以下の3種類に分けられます。
- ドライスチーム
- フラッシュサイクル
- バイナリーサイクル
また、何から蒸気や熱水を得るかによって、
以下の3種類に分けることができます。
- 温泉発電
- 高温岩体発電
- マグマ発電
それぞれ詳しくみていきましょう。
◯ドライスチーム
蒸気をそのまま使ってタービンを回し、発電させる。
◯フラッシュサイクル
蒸気だけでなく熱水が含まれている場合に、
熱水を分離し、蒸気のみを使用する。
ダブルフラッシュサイクル
フラッシュサイクルで分離させた熱水を減圧沸騰させ、
その蒸気を使用する。
トリプルフラッシュサイクル
ダブルフラッシュで分離させた熱水を更に減圧沸騰させ、
その蒸気を使用する。
◯バイナリーサイクル
熱水しか得られない場合に、
アンモニアやペンタンなど沸点の低いものを熱水の熱で沸騰させ、
その蒸気を使用して発電させる。
掘る場所によって蒸気や熱水の温度が異なるため、
必要な設備にもこのように違いが出てきます。
◯温泉発電
温泉として使うには熱水の温度が高い場合に、
50度前後に下がるまでの熱エネルギーを利用して発電させる。
先程のバイナリーサイクル方式が用いられる。
◯高温岩体発電
高温の岩体がある場合に、
岩体まで水を送り込み、人工的に熱水を作り発電に使う。
◯マグマ発電
マグマだまり周辺の非常に高温な熱を利用して発電させる。
世界でも実用化されていない。
このマグマ発電の開発が進めば、
日本の全電力需要の3倍近くを賄うことができると言われている。
地熱発電の普及が進めば、
日本は地理的に燃料の調達に苦労せず、環境汚染リスクも軽減します。
しかし、実際はそうはいかないデメリットが数多く存在します。
地熱発電のデメリットとメリットとは?
日本において地熱発電は、
以下のデメリットのために普及が進んでいません。
〇デメリット
- 地質調査・発電設備建設に時間とコストがかかる
- 候補地の多くが温泉地、国立公園・国定公園であり、特別区域に指定されている
特に、「2」について課題が多いです。
- 温泉の湯量の減少や、質の劣化の可能性がある
- 温泉や公園の近くに発電所が建つと景観を損ねる
- 国立公園、国定公園はどちらも自然公園法で保護されており、
穴を掘ったり建物を建てることが法律で禁止されている
「普及までには観光地としての価値を落としかねない」ということと、
「法律の壁」があるのです。
知名度が低く、国や行政の支援も乏しいのが現状です。
一方のメリットをみておきましょう。
〇メリット
- 環境性能が良い
・二酸化炭素の排出量が少ない
・公害の心配がない - 再生可能エネルギーである
・枯渇の心配がない
・季節の変化による影響を受けない
・純国産
地熱発電は導入後、長期的に稼働をさせても、
環境汚染や燃料の調達といった問題に直面することがありません。
非常に将来性があります。
地熱発電を推進する良い点と問題点とは?
Original update by : 足成
地熱発電を推進していくと、2つの面で良い点があります。
環境面と経済面です。
- 環境面
二酸化炭素の排出が少なく、環境に優しい。 - 経済面
国内で資源の調達ができるようになる。
日本電力供給の過半数を占めているのは「火力発電」です。
火力発電の燃料となる石炭・石油・天然ガスは、ほぼ輸入に頼っています。
地熱発電にシフトすると、火力発電の燃料がいよいよ無くなるというとき、
輸入元があるのか、今より高額で取引せざるを得ない、
といった不安から解放されます。
国内で季節・昼夜を問わず、
安定した供給ができるため価格高騰の心配ありません。
推進する上での問題点は、やはり、
デメリットで挙げた観光地としての価値が落ちてしまうことです。
温泉や公園などの観光地・環境名所周辺で
産業を営む人や企業にとっては死活問題となります。
また、温泉や公園は守るべき日本の文化であり自然です。
それを失ってしまうのは耐え難いことです。
理想的なエネルギーでありながら、現実との板挟みになっています。
まとめ
日本は火山国で、地熱発電に非常に適しています。
しかし一方で、
- コストパフォーマンスの悪さ
- 観光地としての価値が落ちてしまうという懸念
- 法律
が壁となり、普及が進んでいません。
環境性能がよく、国内で安定した供給が可能で将来性があります。
導入・普及が困難だから…
と諦めてしまうには非常に惜しい再生可能エネルギーです。
枯渇性エネルギーが枯渇するのは200~300年後と言われており、
現代を生きる私たちはその時代には誰1人いません。
地熱発電の歴史は1919年に始まり、
多くの人の手によって研究・開発が進展し、現在の姿があります。
普及までは険しい道のりですが、
日本の電気供給の要となり得るポテンシャルに期待が高まります。