太陽光発電の故障にはどんな種類があるの?
故障してしまったら損失分を誰かが補償してくれるの?
故障に備えるために保険に入った方がいい?
太陽光発電はメンテナンスフリーと言われていますが、
「製品」である以上、絶対に故障しないとは言えません。
しかし、設置費用も高額ですし、投資目的で導入する方にとっては、
故障した時の損失分を誰が補償してくれるのかはとても気になるところです。
ここでは、太陽光発電の故障の種類と、
故障してしまった時の対処法についてご紹介していきます。
購入した時点でどのような保証が付いているのか、新たに保険に加入するべきか、
など詳しく解説していきますので、是非、参考にしてください。
太陽光発電の故障の種類は?
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まずは、太陽光発電の故障には、
一体どのようなものがあるのかを見ていきましょう。
独立行政法人「産業技術総合研究所」の調査によると、
調査対象のなんと34%が、何らかの不具合を抱えていました。
結構多いですね。
故障個所別の内訳を見てみると、
- パワーコンディショナー ・・・ 25%
- モジュール ・・・ 15%
となっています。
それでは、それぞれの故障内容を詳しく見ていきましょう。
〇パワーコンディショナー(パワコン)
- 初期不良による端子台の焼損
- 劣化による故障
- ヒューズ切れ
- フィルターの目詰まり
- 水や粉塵が溜まる
パワコンは、太陽光発電システムの中で一番故障しやすい機械です。
さまざまな電子部品が集まった精密機器ですので、
寿命も大体10年くらいと考えられています。
導入後1年以内という早い段階から故障が起きやすく、
また、故障が原因の火災が起きている事例もありますので注意が必要です。
〇モジュール
- ホットスポット
- モジュール内の断線、通電不良
- マイクロクラック
- フレームのゆがみ、破損
ホットスポットとは、鳩の糞や落ち葉などで影になった箇所に、
大きな抵抗がかかり、その部分が熱を持つ現象のことです。
マイクロクラックは、パネルに入るひびのことです。
表面よりも裏側に入ることが多いのですが、
ひびがどんどん広がってそこから湿気が入り、
カタツムリが這ったような模様が出来ます。
モジュールの故障も長時間放っておくと、
セルの破損や発火が起こる可能性があります。
太陽光発電が故障したときの対処方法は?
では、太陽光発電が故障した時はどのように対処すればよいでしょうか。
まずは、それが本当に故障かどうかを確認してもらわなければなりません。
故障かな?と思ったら、すぐに販売店や施工業者に連絡を取って、
故障箇所を特定してもらってください。
その上で次の3点を確認しましょう。
- メーカー保証期間かどうか
- 修理するのか、交換するのか
- 費用は無償か有償か
1.メーカー保証期間かどうか
メーカー保証はパワーコンディショナーが10年、
モジュールが20~25年が一般的です。
メーカー保証期間内でしたら、無償で対応してもらえることが殆どです。
2.修理するのか、交換するのか
修理すれば治るのか、機械ごと交換するのか、
そしてどのくらいの期間が掛かるのかを確認してください。
その間、発電量が落ちた損失分は負担してもらえるのかも交渉ましょう。
3.費用は無償か有償か
メーカー保証期間内でしたら、ほとんどの場合無償で対応してもらえますが、
保証期間を過ぎていたら、有償で修理することになります。
金額はいくらになるのか、見積もりを取りましょう。
ここでポイントとなるのは「メーカー保証期間内かどうか」ということです。
メーカー保証期間中の故障なら、無償で修理・交換に応じてもらえるからです。
しかし上の項目で挙げたような故障は、発電量が徐々に低下することが殆どで、
発見までに時間がかかることが多いのです。
故障に気がついた時には、「メーカー保証期間を過ぎていた!」
ということにならないように、次の2点を心がけましょう。
- 日頃から発電量のチェックする
- 定期的な点検とメンテナンス
太陽光発電の故障は、早期発見、早期修理が鉄則なのです。
太陽光発電にはどんな保障の種類がある?
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太陽光発電の故障はメーカー保証で対応するのが一般的ですが、
故障の内容によっては補償できないものがあります。
ここでは、メーカー保証の内訳と、
その他の保証の内容を確認していきます。
〇メーカー保証
メーカー保証には「製品保証」と「出力保証」の2種類があります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
製品保証
製造上の不具合や不良等によって、
太陽光発電システムに故障や破損が起きた場合に保証するものです。
出力保証
製品の出力性能を一定期間にわたって保証するもので、
「公称最大出力の90%」等のように表されています。
保証されている発電性能より90%以下に発電量が落ちてしまった場合、
問題のあるパネルの修理や取り替え、無償交換に、
メーカーの責任によって対応してくれます。
メーカー保証はあくまでも、
「普通」に使用していて故障した時に対応してくれる保証です。
〇その他の保証
メーカー保証で対応出来ない時は、次の2つの保険で対応します。
- 施工工事が原因の故障 ・・・ 「工事賠償責任保険」
- 自然災害が原因の故障 ・・・ 「災害補償」or 個人で加入する「火災保険」「動産総合保険」
1.工事賠償責任保険
施工ミスによる故障は、メーカー保証で対応できません。
工事賠償責任保険から補償してもらうことになりますが、
この保険は施工会社が入る保険で、一般消費者は加入できません。
見積もりの段階で、業者がこの保険に入っているか確認しておきましょう。
2.災害補償 or 個人で加入する「火災保険」「動産総合保険」
自然災害が原因の故障はメーカー保証で対応できません。
災害補償で対応することになりますが、
この災害補償はメーカー保証に無償で付いているケース、
有償のオプションとして付けるケースなど、メーカーによって様々です。
こちらも見積もりの際に、災害補償が付くのかどうか、
どこまでカバーしてくれるのかを確認しましょう。
災害補償でカバーできない分は、
個人で加入する火災保険や動産総合保険で対応することになります。
太陽光発電の故障に備えた賢い保険の選び方は?
太陽光発電の故障には、出来るだけお得に備えたいですよね。
そのためには、ポイントが2つあります。
- 保証内容と保証期間をきちんと把握する
- 重複する保証がないか確認する
1.保証内容と保証期間をきちんと把握する
まずは、無償のメーカー保証や災害補償が、
「何年間有効なのか」をきちんと把握しておきましょう。
無償保証が切れた後は有償での保証になりますので、
延長するのか、個人で火災保険に加入するのか、どちらがお得なのか、
それぞれの保証ごとに比較して決めていきます。
2.重複する保証がないか確認する
いろいろな保険に入っていても、
保証内容が重複している場合は一つの保険からしか補償してもらえません。
特に災害補償と火災保険は保証内容が重複しやすいので、
保険料をよく比較して、無駄を省いていく必要があります。
メーカー保証などは、自動車保険のように、
「そろそろ保証期間が終了します」という案内は来ません。
自分で管理する必要がありますので、
うっかり期限切れにならないように注意しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
太陽光発電システムはメンテナンスフリーなどと言われていますが、
様々な電子部品を繋げた製品ですから、
普通の家電製品のように故障する可能性は十分あります。
パワコンやモジュールが故障することが多いのですが、
発電量が徐々に落ちてくるために、なかなか故障に気がつきません。
故障に気が付いたらすぐに販売店や施工会社に連絡して、
故障箇所を特定してもらいましょう。
メーカー保証期間内でしたら、無償で修理・交換に応じてもらえますが、
自然災害などが原因の場合は、他の保障で対応することになります。
太陽光発電の故障で損をしない為のポイントとして、
- 保証内容と保証期間をきちんと把握する
- 重複する保証がないか確認する
見積もりの時に上記のことをしっかり確認するとともに、
保証期間がうっかり切れてしまわないように管理することも大切です。